金の王子か、銀の王子か

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  「鈴、……鈴」  いきなりした尊の声に、鈴は目を覚ました。 「うなされてたが、大丈夫か?」 と尊が心配して言ってくる。  おかしいな。  今、緑滴る森の中に居たはずなのに。  何故か、周りを無骨な防音壁で囲まれている、と思ったら、高速道路を走る車の中だった。  どうやら、助手席の窓に頭をぶつけて寝ていたようだ。 「す、すみません。  なんだか熱くて……ああ、お腹は冷えるんですけど」 と寝ぼけたまま、もごもごと言う。  尊に運転させて、自分は寝てしまっていたようだ。  顔は窓から差し込む夏の光で熱くなり、お腹と足許はクーラーで冷えている。  座り直しながら、鈴は言った。 「おかしな夢を見ていました。  窪田さんのホテルの湖みたいなところから、女神様が出て来て。  金の王子と銀の王子、お前が落としたのはどっちだ? って言うんですよ」
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