金の王子か、銀の王子か

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   それからしばらく走り、鈴たちは今度はトイレ休憩をした。  クーラーで冷えると、トイレ近くなるんだよなあ、と思いながら、外に出た鈴は、美味しそうなソフトクリームを売っているのを見た。  サービスエリアとか、道の駅とか、なんで大抵、ソフトクリーム売ってんのかなあ、と思う。  ご当地ソフトとか、今、食べねばっ、と思ってしまうし。  長距離乗っていると、疲れるのか、無性に甘いものが食べたくなるし。  動かないから、こんな太りそうなもの、食べたら駄目なのに、と思う鈴の横に来た尊が、 「なんだ、食べたいのか」 と言って、ひょい、と買ってくれた。  ああっ。  嬉しいんですけどっ。  逃亡生活しているわりに動かないので、迷ってたんですよっ。  私を甘やかさないでくださいっ、と思いながらも、美味しくいただく。  尊は自分は食べずに、 「そうだ。  窪田に連絡しないとな」 と言い出した。
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