金の王子か、銀の王子か

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「車もバスケットも借りっぱなしだし。  ……盗聴器とかホテルにつけられてたら困るが、一応、連絡しないと。  俺は、公衆電話を探してくるから、お前は、そこで食ってろ。  ああ、知らない人にはついて行くなよ」 と知らない人について此処までついてきてしまった鈴に尊は言う。  公衆電話か。  いまどき、あんまり見ないよなあ。  まあ、こういう場所だし、必ずあるだろうけど、と思いながら、建物の横、少し緑のある広場のベンチで鈴はソフトクリームを食べていた。  すると、いきなり、背後から、よく響く声がした。 「お前、俺と最初に出会った場所、何処だわかるか」  ひっ、と鈴は息を呑む。  振り返ると、朝見たスーツ姿の征が真後ろに立っていた。  みっ、尊さんっ、知らない人じゃなくて、知っている人が来ましたっ!
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