金の王子か、銀の王子か

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「せ、征さん、お仕事はっ?」 「今、一仕事終えて、移動中だ。  行きは新幹線だったが、帰りは、小型飛行機にした。  お前たちが意外に近くに居たので、飛んだら、すぐ降りる感じになってしまったが」 と言ってくる。  ひい……。  征は、なにかを探すように辺りを見たあとで、 「数志を使わなかったんだ。  あいつを使わないと、すぐにお前たちが見つけられるな」 と言ってきた。  ……どんな腹心の部下だ。  征は、他の部下か、興信所でも使ったのだろう。  数志さん、尊さんに気を使って、ゆるく追いかけてくれたり、征さんに報告しなかったりするからな、と思いながら、ははは、とごまかすように笑っていると、尊が戻ってきた。 「征っ。  なにしてるんだっ。  仕事に戻れよっ」 と尊は、いや、お前もな、と言われそうなことを弟に言う。
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