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「……お前との見合い話が来たのは、俺が跡継ぎになると決まってからだったんだが。
なんとなく頭の片隅で思っていた気がする。
支倉の娘のお前に、うちと話があるとすれば、跡継ぎの尊とだろうと。
それもあって、俺は、尊を追い落としたのかもしれない」
ちょ、ちょっと待ってください、と鈴は思う。
そんな来るのか来ないのかわからない見合い話のために、尊さんを跡継ぎの座から追いやったんですか? と。
いや、待て待て。
ってことは、尊さんがこんなことになってしまったのは、私のせいだということになってしまうんですがっ、と思う鈴の手を取り、征は言ってくる。
「自分が清白の跡継ぎにほぼ確定しても、尊を追いやった罪の意識から、自分からお前に話を向けることはできなかった。
なのに、間に入る人が居て、お前との見合いが急に持ち上がってきた。
俺は……運命だと思った」
と言い、征は強く鈴の手を握ってくる。
「俺はただ、お前が欲しかっただけなんだ」
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