金の王子か、銀の王子か

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 だが、それは、三日一緒に居たからではなくて。  貴方だからですよ――。  ふとそう思ったとき、 「征様、その運命理論はまずいと思います」 という声がした。  数志が立っていた。  征がぎくりとした顔をする。  数志は腕を組み、少し自分より身長の高い征を睨むように見上げて言った。 「よくも私を出し抜いてくれましたね」  どんな主従関係だ。  今、貴方が威圧しつつ、脅しているその人は貴方の主人ですよ、と思う。 「貴方は今、鈴様との見合いの話が来たのは運命だ、とおっしゃいましたが。  でも、結局、鈴様は尊様に連れ去られて、こうなってるわけですから」  いや、こうなってるって、どうなってるんですか、と思う鈴を見ながら、数志は言う。
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