金の王子か、銀の王子か

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「み……」 と尊に呼びかけようとしたが、尊は、 「早く乗れっ」 と車に乗り込みながら急かしてくる。 「征が、ヘリからパラシュートつけて、飛び降りてくるかもしれんっ」 「いや、そんな莫迦な……高速道路に降りたら死にますよ」 「車の上に降りてくるかもしれんだろうが」  そう真顔で、尊は言ってくる。  貴方、どんだけ、弟さんが怖いんですか……。    っていうか、数志さん、もういらないですよね~、そんな離れ業ができるのなら。 と数志が聞いていたら、 「いや、俺もできないから」 と言ってきそうなことを鈴は思う。  というか、尊は、なにかにつけて、弟の方が自分より優れていて、なんでも出来る、と思っているような節がある。  ある意味、兄弟愛か? と思いながら、また何も言い出せないまま、鈴たちはサービスエリアを離れた。
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