金の王子か、銀の王子か

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   しばらく走ったところで、尊が鈴に言ってきた。 「鈴、なにか小話はないのか」 「……何故、みんな私にそんなものを要求するんです」 と言う鈴に、尊は、 「暇だからだ」 と言ってくる。 「そうですねー」 と鈴は溜息をついたあとで言った。 「近所に、ひなちゃんって可愛い小学生が居るんですけど。  この間、道で会ったので、お話してたら、 『あのねー、五年一組は少林寺のクラスになったんだよー』  って教えてくれたんですよ。  みんなで屋根でも走るんだろうかと思ったんですけど。  よく話聞いてみたら、少人数のクラスでした」 「……九州入る前に、もう一回、休憩するか」 「はい」 と答え、鈴は覚悟を決めた。  今度こそ、尊に言おうと――。
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