金の王子か、銀の王子か

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   家に上がり、客用の豪奢な居間に、征を通す。 「まあ、座りなさい」 と晴一郎は、征にソファに座るよう、促した。  自分も向かいの一人掛けの椅子に腰掛け、晴一郎は言う。 「私はね。  ほんとうに君には申し訳ないと思ってるんだよ、征くん。  君が本気で鈴を思ってくれていることはよくわかっている。  だから、この結婚話も進めた。  君がその深い愛情で、鈴を守ってくれると思ったからだ。  でも、鈴は尊くんを一目見て、あっちに付いて行ってしまった」  はっきり言うな~という顔を征はする。  だが、適当なことを言って、ごまかしても仕方がない。  あとで、余計、大変なことになるだけだからだ。
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