4211人が本棚に入れています
本棚に追加
「君が鈴を大事にしてくれるのはわかっていたから、私は震えながら招待客のみなさんに謝って歩いた。
君に申し訳ないと思ったから。
そして、尊くんの手を取った鈴は、もう戻ってこないような気がしたからだ」
ぴくり、と征の眉が震える。
「ま、親の勘だけどね。
私は、どっちの肩を持とうとも思ってないよ。
より、鈴を幸せにしてくれる人に、鈴を託したいだけだよ。
なあ、ぽす」
と勝手にケージを開けて出てきて、肩に飛び乗ってきたぽすに向かい、言う。
滑り落ちかけるぽすを手で押さえながら。
でも、自分はもう、征と尊と、鈴がどちらを選ぶか、予想はついている気がする、と晴一郎は思っていた。
娘が一緒に居たからというのもあるが、無意識のうちに、尊を通したのは、家族用のリビングで。
征を通したのは、客用のリビングだったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!