金の王子か、銀の王子か

35/88
前へ
/393ページ
次へ
 征の手のひらには、ぽすが乗っている。 「ぽすっ」 「ぽすを返して欲しくば、俺のところに帰ってこい」  そう言う征の肩に、ひょいと、ぽすが乗り移る。  ぐるりと左から右へ征の肩の上を歩いたぽすは、また、征の手のひらに飛び降りた。 「帰ってこい、鈴。  さもなくば、ぽすをひどい目にあわせるぞ」 「……いや、ぽす、めっちゃ懐いてるんですけどっ!」  なにも悪いことされなさそうで、不安にならないっ! と二人で画面に釘付けになる。 「でも、最初はなかなか人に懐きにくいのに、フェレット」 と呟く鈴の横で、 「出遅れたな」 と画面を見ながら、尊は真剣に呟いている。  いや、張り合うところがおかしいです……。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4212人が本棚に入れています
本棚に追加