金の王子か、銀の王子か

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「さすがですね、征さん」 と思わず、呟いて、 「お前も返したら、ただちに調教されそうだな」 と尊に呟き返される。  いや、私、ケモノじゃないんで……。 「……一応、帰ってみるか?」  横目に、チラとこちらを窺いながら、小声で尊が言ってきた。  だが、今度、戻ったら、そこで終わりな気がする。  でも、九州に着いたら、それはそれで終わりな気がするし。  苦悩する鈴は、画面を食い入るように見つめてみた。 「あっ、この壁!  どっかで見たと思ったら、うちの客間の壁ですっ」  この番号を征が知っていたことといい――。 「お父さんが悪の手に落ちたのかもしれませんね」 とこいつも悪の手に落ちてるんじゃないのかと不安になるくらい、征に懐いているぽすを見ながら、鈴は小声で囁いた。
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