金の王子か、銀の王子か

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「莫迦、悪は俺だろ」 と尊が言ってくる。 「征の許から、お前を連れ去ったのは俺だ」 「……そうでしたね。  なんででしょう。  征さんの方が悪人面(あくにんづら)というか。  完璧すぎて嫌味な感じだから、そう感じてしまうんでしょうかね」 と分析する鈴に、征が呼びかけてくる。 「さあ、鈴。  帰る決心はついたか」 「帰りません」 と高圧的に言ってくる征に反抗するように、鈴は言っていた。  ちゃんと結婚もしていないのに、なんだか、夫婦喧嘩じみてきたな、と思いながら。 「なんだと?  ぽすがどうなってもいいのか?」 と征は言ってくるが。  いや、どうにもなりそうにないから帰らないと言ってるんですが……と鈴は思う。
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