金の王子か、銀の王子か

38/88
前へ
/393ページ
次へ
 今も征の頭に乗ったぽすが落ちないよう、征は手で支えている。  しかし、そこで余計な口を挟んでくるものが居た。 「なんだと?  鈴、帰らないのか」  父親が、画面に顔を出してきた。 「帰ってこないと言うのか、鈴!  お前、わしやぽすより、男を選ぶと言うのか!  ぽすがどうなってもいいのか!」  お父さん……。  その様子を見ながら、 「征に泣きつかれたのかもしれないな。  ぽすを使って脅したら、お前が一旦、帰ってくるとでも言ったんだろう。  此処は、お父さんの顔を立てて帰るか」 と尊が気を使って言ってくれる。 「いえ、帰りません。  ……また、連絡します、お父さん」 「なんだと?  お前のような娘はもう知らん!」  もはや、誰と揉めているのかわからなくなってきたな……と思いながら、鈴は通話を打ち切った。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4212人が本棚に入れています
本棚に追加