金の王子か、銀の王子か

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 尊さん、私が家とぽすのことを気にしていると思って、あまり自宅から離れないようにしてくれているのかもしれないな、と鈴は思った。  私が帰る決心をしたときに、すぐに戻れるように。 「み、尊さんっ。  私は大丈夫ですっ」 と言ったのだが、尊は、そこで、はっ、と気がついたように叫び出した。 「鈴!  もう下関はすぐそこじゃないかっ」 「は、はあ」 「ふぐだよ、ふぐっ。  宿でふぐを食べようっ。  山口では、縁起がいいから、ふくって言うんだったか?」 「……一応、そういうことになってるらしいですね。  日常会話では、あんまり聞かないみたいですけど」  だんだん気を使ってくれているのか、本気で、ふぐを食べたいのか、わからなくなってきたな、と思いながらも、鈴は尊に従った。 image=510670598.jpg
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