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尊さん、私が家とぽすのことを気にしていると思って、あまり自宅から離れないようにしてくれているのかもしれないな、と鈴は思った。
私が帰る決心をしたときに、すぐに戻れるように。
「み、尊さんっ。
私は大丈夫ですっ」
と言ったのだが、尊は、そこで、はっ、と気がついたように叫び出した。
「鈴!
もう下関はすぐそこじゃないかっ」
「は、はあ」
「ふぐだよ、ふぐっ。
宿でふぐを食べようっ。
山口では、縁起がいいから、ふくって言うんだったか?」
「……一応、そういうことになってるらしいですね。
日常会話では、あんまり聞かないみたいですけど」
だんだん気を使ってくれているのか、本気で、ふぐを食べたいのか、わからなくなってきたな、と思いながらも、鈴は尊に従った。
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