金の王子か、銀の王子か

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「カレー屋さんに行かれないじゃない。  一度、旦那になる予定だった人と話し合ってみなさいよ」 と言う朋花に、  あれ?  もしかしたら、ほんとは心配してかけてきてくれたのかな、と思う。  そういえば、駆け落ちしたと思っているのに、その人のこと好きなの? っておかしいし。  なにか事情を小耳に挟んだうえで、かけて来てくれたのかもな、と思った。  ……それに、そういえば、朋花は、今のご主人に告白するとき、なかなか言い出せなくて、ずっと飴噛んで、ご主人を睨んでたって言ってたっけ。 「……すごい形相だった。  断ったら、()られると思った……」 とあとでご主人が言ってたけど。  緊張したら、硬いものが噛みたくなるとか言ってたっけ、と思っていると、 「そうじゃないなら、海外に行きなさいよー」 と唐突に、朋花が言い出した。
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