4211人が本棚に入れています
本棚に追加
……いや、さほど違いはない気がするんだが、と思いながら、鈴は牧師の言葉を聞き流していた。
なんとなく、私もみんなと同じように、普通に誰かと恋をして、結婚するんだと思ってた。
でも、現実は、私の意志など、おかまいなしに、怒濤のように話が進んでいって。
父親は、
「結婚嫌なのか? 鈴。
清白の跡継ぎ息子で、驚くような男前。
性格は知らんが、忙しいから、滅多に会うこともないだろう。
その辺どうでもいいんじゃないか?
……断るのか?
別にいいが。
うちは困らんから。
だが、お前のように、ぼうっとした娘は、自分で男なんぞ見つけて来られないだろうなあ」
可哀想にな、鈴、と勝手に娘の未来を悲観し、言ってくる。
「ぽすの面倒は一生、鈴が見てくれるらしいぞ。
よかったな、ぽす」
と家で飼っているフェレットに話しかけている。
最初のコメントを投稿しよう!