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ええっ?
と鈴は見知らぬその男を見上げた。
いや、見知らぬではなかった。
その男の顔は新郎に瓜二つだった。
「来いっ」
と言って、男は鈴の手をつかみ、外に連れ出そうとする。
「待てっ」
と今日初めて口を開いた気がする征が止めようとしたときには、その男は鈴を抱きかかえて外に出ていた。
ええっ? と思っている間に、そのままひょい、とちょうど止まっていたバスに乗せられる。
ええっ? とさらに思っている間に、バスは発車していた。
すぐに征たちが教会の外に出てきたが、まさか、略奪された花嫁が市営バスに乗っているとは思わない。
慌てて、大勢の人間が周囲を探しだしたが、もうバスは教会から遠ざかっていた。
「……なんで、バスなんですか」
窓に張り付いて、後ろを見ながら、鈴はその男に訊いた。
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