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灰色の重たい雲の隙間から、一筋の光が射し込んだ。一直線にオババがさしている傘に当たる。
舞台でスポットライトを浴びた主役みたいに、オババは光に包まれた。
人生が終わる瞬間……。もしくは、新たな始まりの瞬間かもしれない。
「わぁ……」
雨が弱まっていく中、陽の光に反射したオババの虹色の傘は空に大きな七色のアーチを生み出した。
ゆっくり、その橋をオババは渡っていく。手にしていた虹色の傘は消えていた。
もう僕の声は届いていない。もう僕の姿もオババには見えていない。それでも僕は叫んだ。
「さようなら、オババ!! さようなら!!」
雨が上がったあと、空に架かった虹も消えてしまった。
魔法使いは確かに存在する。素敵な魔法を僕に見せてくれた。
「あ……芽が出てる」
そして……枯れた地に新たな命をたくさん宿してくれた。
「……ありがとう。オババ」
魔法使いの涙【完】
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