魔法使いの涙

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 家に着くと、両親の荒ぶった声が聞こえてきた。 「お義母さんを家に戻しましょう!!」 「何言ってるんだ?」 「お義母さんも望んでいらっしゃるの!」 「そんなこと出来るわけないだろう! そんなことをしたら」 「あなたは、いつもそう。やる前から頭ごなしに否定して……。お願い、もっと周りの人の声に耳を傾けて」 「けど……」 「お義母さんの気持ちを優先しましょう……」  大人の話し合いに首を突っ込むのはいけないことだと分かっていたけど、どうしても伝えたくて僕は声を振り絞った。 「お願い!! オババを一人にしないで! しちゃいけないよ! じゃないと、みんな悲しい思いをするから!!」 「坊や……。あなた、お願い!!」  僕を母さんは力一杯抱き締め、父さんを見つめた。 「……わかった。明日、迎えにいこう」 「やったー!!」 「ありがとう、あなた!! 早速、お電話しなきゃ!!」  父さんは頭を抱えた。堅物だって、オババは言ってたけど意外と柔らかいところもある。 「まさか、お前に言われるとは思わなかったよ」 「僕は、オババが好きだよ。だって、僕の父さんのお母さんだもん」 「……あぁ。そうだな……」 「ダメだよ。オババと仲良くしなきゃ」 「……否定ばかりもしていられないか……」 「え?」 「何でもない。オババが来たら、話し相手になってあげてくれ」  僕の頭を撫でた父さんの手は日溜まりのような温かさがあった。
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