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日向美咲が連行されてから、理事長は書記と庶務を呼び寄せた。
「ご苦労だったね。協力してくれてありがとう」
「いえ、オレたちもこれで自由になれました。ありがとうございました」
2人が理事長と何事もなかったように話をしていることに生徒たちと元親衛隊隊長たちが首を捻る。
「どういうことですか?」
風紀委員長が訊ねると理事長は笑いながら真相を話し出した。
この学園で今年になってから強姦事件が驚くほど急増していた。
しかも、被害者は加害者の顔を見ているはずなのにそれを話そうとしなかった。
風紀委員も困り果て理事長に報告。
これは何か組織めいたものを感じた理事長は自ら調査に乗り出した。
そのためには生徒たちの中に入り込む必要があり思いついたのがアンチ王道。
腐女子だった姉に散々吹き込まれた彼にとってそれは簡単なことだった。
だが、おかげで副会長だった日向美咲が今までしてきたことを突き止めることができた。
プライドが高かった彼はランキングで2位だったことが許せなかったようで、公表前に1位だった島崎蓮に無実の罪を着せて学園から追い出した。
そうなる前に保護して、変装させてFクラスに入れ総隊長という地位を与え日向の動向を探らせていたのだが・・
親衛隊に調査をさせると副会長という立場を利用して気に入った生徒を強姦するという暴挙をくりかえしていたことが判明してその事実を隊長は信じられず寝込んだほどだ。
私も彼がこれほど歪んだ性格だとは思っていなかった。
だが、強姦の加害者が・・まさか副会長だったとは・・
生徒会役員の権力が彼の目を曇らせたのだろうか?
選ばれる前は優しくて思いやりのある生徒だったと聞く。
そうだとしたら、学園側にも責任がある。
被害者には十分なカウンセリングと慰謝料を支払い推薦状を持たせて違う学園に転校させた。
それでも足りないくらいだと思っている。
「生徒会役員の改革が必要かもしれないな」
「オレもそう思う・・」
「瑞希、手伝ってくれるか?」
「もちろん・・」
「ありがとう・・そういえば、智也くんはどうしている?」
「ん・・ああーー・・オレの部屋にいる」
「ふ~ん・・付き合っているのか?」
「・・ああ」
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