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もう七月になるのに……そう考えながら湯船に浸かっていると、壁から手が……
こっちこっちと手招きしいるのを見るとなにかのホラー映画のように気味悪いが、この三ヶ月で良く得体のわからないものに遭遇するようになったので、少しは耐性がついているはず……
でも、気持ち悪いものは気持ち悪い。
「あ、あの……」
ぬっと、顔が出てきて、「俺だ俺!!!」と大国さんが顔を出してくる。
「お前の気を探ったらここに出てしまったんだが、風呂か……」
「風呂かじゃないですって。手だけ出てくるとか怖いんですけど」
「すまんな。お前と迦具土、後祖父母殿と兄にこれを渡しておいてくれないか?」
そう言って渡されたのは小さなお守り。
それともう一つは鈴の形をしたキーホルダー。
「その鈴は普段は鳴らん。妖が最近多いと思うんだが、その時に反応する。
祖父母殿と兄の方は俺達が見えて、神気に当てられ無いようにしてるだけで力はない。
源三郎には元々力はあるが歳だ。
その鈴を振れば、多少の妖は逃げるから持ってろ」
なにか急いでいるのかそれだけ言って壁の中に消えてしまった……
風呂場で渡されてもなぁ……
相変わらずなんだから。
そう言いながらも元気そうでよかったと頬が緩む。
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