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「で、何? 今、名前、呼ばなかった?」
「あ、あのね、私、健太郎に話があって」
私は、途切れ途切れに言葉を紡ぎ、健太郎に話しかけた。
健太郎は、一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐにいつもの平常心を取り戻して、低い声で「何?」と聞く。
「私……私ね……」
生まれて初めての告白を、今からするんだ。
そう思うだけで、冷や汗が出てきた。心臓が聞いたこともないほど早く音を立てている。
「どうした?」
唇の端をキュウと上げて、首を少しかしげて、彼は言った。
雪が溶けていく。
雲が青に溶けていく。
心の靄が溶けて、大切な思いが言葉になる。
「健太郎が……好き……」
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