たった5分の幸せ

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「嘘つき!」 「ははは」 健太郎はそれだけ言うと、机の上に小さな紙パックのジュースを置いていった。 毎日おかずを狙いに来る代わりに、三日に一度くらいこうやって、彼はおかずと引き換えに何かを置いていく。 この間は、購買部の特盛焼きそばパンだった。 私のおかずを狙うより、そちらの方が充分おなかが満たされると思うんだけど。 それにしても、くそー! 今日は絶対取られないように、細心の注意を払っていたというのに! 「ちょっと美青(みお)。さきにお弁当食べ始めないでって、いつも言ってるのに……! って、あれ? 今日も負けたの?」 「……そう」 遅れてやってきた親友、心菜(ここな)は、落ち込む私の姿を見て、すぐに状況を察知したようだ。 「よっぽど、美青のお弁当が好きなんだねぇ。健太郎は」 「ほんとやめてほしい」 教室を出ていく健太郎の後ろ姿はとても満足そうだ。食べ物の恨みは怖いぞ! 覚悟しけておけよ! と私は思った。
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