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健太郎が通るたびに、女の子たちが可愛い、かっこいい、なんてはやし立てている。
ええ。見た目はいいかもしれない。そして、性格もいいかもしれない。でも、奴は弁当泥棒だ!と声を大にして言いたかった。けれど、言えない。
健太郎は、廊下を歩いていき、角を曲がった。きっと今から購買部にパンを買いに行くのだろう。
健太郎の白いカッターシャツが見えなくなって、私の心は「悔しい」から、少し「……寂しい」に音を変える。
お弁当の中身を健太郎に取られないように、と毎日思っているのに……心のどこかでは、いつまでも狙ってほしいとも思っている。
私は少しおかしい。
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