第一譚 猫目と武士の白昼夢

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  第一譚 猫目と武士の白昼夢

 いまから僕がする話は、とても滑稽な内容になると思う。  笑ってもらってもかまわないし、ドン引きしてもらってもかまわない。むしろそうしてもらった方が助かる。  まず一つ目の滑稽さは、たびたび白昼夢を見ること。聞き覚えがないだろうし、説明しておこう。起きている間に見る夢のことだ。  ふっと意識がどこかへいって、目の前に見たこともない光景が広がったりする。  その風景の中に誰かが現れ、音が聞こえ、声が聞こえ、エピソードのように展開していく。まるで映画を観ているみたいに。  その風景の中に〝僕自身〟はいない。透明なカメラというか、存在しないキャストとして展開する風景を眺めている。  二つ目の滑稽さは、情報量にある。  日常生活の中で、ほんの数秒、僕の動きが固まることがある。その数秒の間に何分間、数十分間、多いときには数時間にも渡る内容の白昼夢を見る。  おかしいだろ? 所要時間があっていない。  科学ですら説明のつかない現象が起きているか、あるいは僕がそう思いこんでいるだけか。  どちらかと言えば、あとの方かな。  おそらく僕は病んでいる。     
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