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〔板碑は災害、疫病、戦争――色々な理由で大勢が死んだとき、その霊を鎮めるために造られる〕
「大勢の死……」
僕は白昼夢を思いだした。あの老婆が言っていた。
『呪いの恐怖を味わい、なおもこの沼に参るのか』
もしかしたら呪いで死んだ者たちの供養かも。
〔形が特徴あるな。下に知っている本がいそうだ。捕まえるからちょっと待て〕
「本を擬人化するな」
こいつはちょくちょく、本を人に喩える。本の個性を尊重しているんだろうけど、幼げすぎるその行為は、ガタイのいい本人の見た目からミスマッチしている。
かっこつければモテるんだから、かっこつければいいのに、ちょくちょくこういうところがあるからなあ。
〔あった〕
「なにが?」
〔…………うぇー……〕
「なんでえずいてるんだよ」
〔画像を送ろうとしたらさあ、ネットなる文明の利器を使わなきゃじゃんか。さっきのメールもイヤだったんだけど、いまキーボードに触れると祟りがありそうで〕
「おじいちゃんか!」
〔違うんだよ。ネットをしているとき、ディスプレイの周りに漂う空気が……いや、空気じゃないけど、グロくて〕
「不思議なワールドを展開していないで、さっさと送れよ」
スマホが鳴る。画像を送ってきた。
開いてみて、息が止まるほど驚いた。
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