待ち時間

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 今まであまり訪れたことのなかったB組の教室に、ふらりと訪れる。生徒たちの合間を横切って、目的の席の椅子を引き、腰掛けた。 『俺、何考えてるか分かんないらしいんだけど。それでも良いの?』  あの日、告白してきた女の子に思わずそう確認した。  女の子は勢いよく首を縦に振って、『一緒にいれば、分かると思うから』と答えた。  その真偽の程なんてその場で分かるはずもなく。柚木はまた淡い期待と共にその女の子と付き合い始めた。  そして現在、委員会があるという恋人を待つために、彼女の席に座って待っているのである。  一緒にいれば分かると思う、ね。  今までの恋人たちもずっと一緒にいて、それでも分からないと言っていたのに。  そんなに大層な性格をしているわけでも、大層なことを考えているわけでもないのだけれど。 「眩し」  まだまだ時間がかかりそうだと思い、机に突っ伏して目を閉じる。カーテンを閉めたかったけれど、他のクラスの中を勝手に歩き回る気にもならず、柚木は日の当たらない方に顔を背けてゆっくりと眠りに落ちて行った。
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