「好きなんだろ?」*琴羽side

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「は、はじめまして……衣川琴羽といいます。あの……えっと……」 たった4人でも、じっと見つめられると緊張で手に汗がにじむ。 どうしよう。 なにか話したいのに、何も思い浮かばない。 なにか話さなきゃ。 最初の印象は大事。 3ヶ月は、最初のイメージから変わらないと聞いたことがある。 「えっと……えっと……」 「琴羽ちゃんは動物が好きなんだよね」 恭平さんが言った。 そういえば、民宿の申し込みフォームに好きなものを書く欄があった。 どうしてこの情報が必要なんだろうと思いつつも、入力必須項目だったから「動物」と書いたんだった。 「……あ、はい」 「特にどの動物が好きー?」 洸くんが笑顔で聞いてくれた。 「犬……です」 「いいね! 俺も猫より犬派!」 少しだけ緊張がほぐれる。 「犬は飼ってるの?」 「昔飼ってました。お父様が買ってくれて」 すると、 「「お父様!?」」 洸くんと女の子の声が被った。 「えっ?」 何か変なことを言ってしまったかと不安になる。
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