「好きなんだろ?」*琴羽side

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「もしかして、なんだけど……」 洸くんが少し言いにくそうに言った。 「琴羽ちゃんってお嬢様?」 お嬢様って、どういう人のことをいうんだろう。 品があって、知的で、あと、移動は全てリムジンとか? そう考えると、私のイメージするお嬢様の枠に私は入っていない。 「うーん……そうではないと思います」 「……そっか」 いまいち納得していない様子で、更に質問をされた。 「両親の職業聞いてもいい?」 「父はIT系企業の代表をしていて、母は弁護士です」 そう答えると、そこにいた全員が納得したように微かに頷いた。 「あの……」 「ごめんね。いきなり親のことなんか聞いて」 みんなのリアクションの理由が分からないまま、私の自己紹介の時間は終わった。 「じゃあ次はあたしの番ね」 女の子が笑顔で言った。 白い歯がきれいに並んでいる。 笑うと三日月目になって、えくぼがでる。 私には、全てが美しく映った。 「九条姫華(くじょうひめか)です」 ……姫華ちゃん。 まるでお人形さんのような見た目に相応しい名前。 芸能人のように完璧なメイクをしている。 でも決して派手ではなく、素の良さを引き出すようなお化粧で。 明るめの茶色で、きれいなウェーブがかかっている髪。 長さはミディアムで、それが少し活発さを感じさせる。 私も少し髪の毛切ろうかな……。 髪を切ったぐらいで姫華ちゃんみたいになれるとは思ってもいないけれど。
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