「好きなんだろ?」*琴羽side

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「知ってるに決まってるでしょ。俺、ここのオーナーだから」 「ここの……?」 もう一度、広くて大きい家を見る。 「えっ!? オーナー!?」 こんなに大きい声を出したのは久々。 品がなかったことを後悔しても、もう遅い。 「うん。寺田恭平(てらだきょうへい)です。よろしくね」 その名前は、紛れもなくネットに書かれていた名前。 民宿のオーナーだから、勝手におじさんをイメージしていた。 まさか、こんなに若い男性だったなんて。 「衣川琴羽(いがわことは)です。……よろしくお願いします」 「入ろっか。まだみんな来てないと思うけど」 “みんな”とは、今日からこの家で一緒に暮らす人たちのことだろう。 同い歳で、同じ高校に通うことになるらしい。 いい人たちでありますように。 寺田さんが門の鍵を外し、押した。 錆び付いた音がして、見た目よりも軽そうな門が開く。 「お邪魔します」 敷地内に入る時と、家に上がる時、どちらもそう言った。
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