102人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
家の中は、失礼かもしれないけど思ったよりずっときれいだった。
「部屋ん中は掃除頑張ったんだけど」
寺田さんは庭を見て呟く。
「庭も手入れしなきゃな……」
どうしてこの人は民宿を始めたんだろう。
気になるけど、会ってすぐに聞くことでもない。
「座って。お茶入れるから」
「……はい」
私は畳の上のテーブルの前で正座をした。
「正座なんてしなくても。くつろいでいいんだよ、今日からここが家なんだから」
「床に座る時はいつも正座なので」
寺田さんは驚いた顔をした。
私、なにか変なことを言ってしまっただろうか。
「琴羽ちゃんって……いや、なんでもない」
キッチンは、私が座っているところのちょうど向かいにある。
ほとんど記憶はないけど、ひいお祖母様のお家もこんな感じだった気が。
「ウーロン茶どーぞ」
「ありがとうございます」
緊張のせいか喉が渇いていたから、一気に半分ほど飲んでしまった。
「喉渇いてたんだね」
そう言われ、なんとなく恥ずかしくなる。
最初のコメントを投稿しよう!