「好きなんだろ?」*琴羽side

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家の中は、失礼かもしれないけど思ったよりずっときれいだった。 「部屋ん中は掃除頑張ったんだけど」 寺田さんは庭を見て呟く。 「庭も手入れしなきゃな……」 どうしてこの人は民宿を始めたんだろう。 気になるけど、会ってすぐに聞くことでもない。 「座って。お茶入れるから」 「……はい」 私は畳の上のテーブルの前で正座をした。 「正座なんてしなくても。くつろいでいいんだよ、今日からここが家なんだから」 「床に座る時はいつも正座なので」 寺田さんは驚いた顔をした。 私、なにか変なことを言ってしまっただろうか。 「琴羽ちゃんって……いや、なんでもない」 キッチンは、私が座っているところのちょうど向かいにある。 ほとんど記憶はないけど、ひいお祖母様のお家もこんな感じだった気が。 「ウーロン茶どーぞ」 「ありがとうございます」 緊張のせいか喉が渇いていたから、一気に半分ほど飲んでしまった。 「喉渇いてたんだね」 そう言われ、なんとなく恥ずかしくなる。
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