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「まぁいいけど」
そう言って、咳払いをひとつした。
「はじめまして。柏倉洸です。みんなと同じ高1で、恭ちゃんは、俺の父さんの姉さんの息子です」
「分かりやすく従兄弟でいいから」
まるで兄弟のような仲の良さが、ひとりっ子の私にはうらやましく見えた。
「面白いことが大好きです! よろしくお願いします! ……あっ、あと、恭ちゃんのことは、名前で呼んであげてね。喜ぶから」
「余計なこと言わなくていい」
「あ、ってか、みんな下の名前で呼び合うことにしない? そっちの方が親近感わくし!」
「そういうの嫌がる子もいるかもしれないだろ。なんでも自分基準で考えんな」
私は柏倉くんと寺田さんに、視線を往復させる。
下の名前で呼び合う。
少し憧れる。
私は今まで、親以外に下の名前で呼ばれたことがない。
「いいね! それ!」
またもや私の心の声を口にしたのは、あの可愛い女の子。
「そうしよ、洸」
「おー! なんか自分で言ってて照れる」
私も呼んでいいのかな……。
「くん」はちゃんと付けよう。
さすがに呼び捨ては、私にとってはハードルが高すぎる。
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