5人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて、目の前に黄色いひまわり畑が見えてきた。
それを見た瞬間、僕は駆け出していた。
ついに。
ついに見つけた。
長年、探し続けていたあの場所を。
息を切らしながらたどり着くと、そこにはもう、あのリポーターの姿はなかった。きっと、別の場所にでも移動したのだろう。それはそれでありがたかった。
肩で息を整えながら、汗まみれの顔を持ち上げる。
大きな入道雲が、目の前に迫ってくるかのように広がっていた。
かつて見た、あの夢の中の入道雲と同じ形だ。
僕はひとつ息を吐くと、顔を横に向けた。
そこには。
ひなたがいた。
夢の中でしか会えなかった、ひなたがいた。
白いワンピース姿の、大人びた表情の彼女。
ひなたは、目を見開いて僕を見ていた。
予想だにしていなかった出会いに、時が止まる。
最初のコメントを投稿しよう!