今日、君を待っている

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 魔が差した。  今日の俺を一言で表すのなら、この言葉一番しっくりくるだろう。  それはどうしようもない後悔を引き連れてやってくるのだけれど、まだその時の俺は何も気付いていなかった。  俺の大切な奴は俺とは違い落ち着いている。  俺が周りの奴らとワーワーと騒いでいる時でも、奴は比較的大人しい奴らとつるんで傍観しているようなタイプだ。冷めているともクールとも取れるが、俺からすればその大人な態度、雰囲気は自分にないもので憧れでもあった。  だから付き合ってほしいと告げ了承してもらえた時は、尋常じゃないくらいに舞い上がって喜んだものだ。  実際付き合ってみると、控えめだけど芯があって、寂しがりの癖に俺の友達付き合いに理解を示してくれ、文句一つ言われた事も無く、かといってその輪の中には何となく入り辛いし、どちらかと言うとみんなで盛り上がるのも苦手だからと一歩引いて入ってくる事も無く、だけど決して否定するわけではなく、俺はますます奴のことが好きになったし、大切だし、大事にしたいと思った。     
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