今日、君を待っている

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 放課後はいつも一緒に帰っている。俺はHRが終わればすぐにでも待ち合わせ場所に向かいたいのだけれど、いろんな人に声を掛けられ、一つ一つに応え、そうこうしていると随分と時間が経ち、結局いつも奴を待たせる羽目になる。  そしていつも、明日こそは先に来ようと誓うのだ。もっとも、それは結局一度も果たされたことはないけれど。  今日もあちこちで足止めされたものだから、かなり気は急いていた。奴は今日もきっといつもと変わらない様に待っていてくれるだろうけれど、少しでも早く奴の元に行きたかった。  そんな些細な願い事もなかなかうまくいかないもので、 「ねえ、克己くん、少しいいかな」 と引き留められた。  よく俺に絡んでくる奴だ。可愛らしい顔立ちに声色。自分のその可愛らしさを理解しているであろうとわかるのは、それを武器に使ってくるところだ。確かに厄介な奴だが、俺は逆にその一生懸命さが嫌いではない。どちらかと言うと多分気に入っている方だとは思う。が、とにかくそれは放課後、この時間以外と言うのが大前提である。  今こいつに会って思うことはただ一つ、面倒くさい…… 「悪いな、急いでるから明日にしてくれねえ?」 「ちょっと話する時間もない?」 「悪いな、いっつもあいつ待たせてばっかりだからな。 少しでも早く行きたいんだよ」 「そうなの……待たされてばっかりじゃ、文句の一つや二つ出てくるよね。 じゃ、また明日でいいや」  文句?     
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