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馬鹿みたいな喧嘩をした。今から思えば本当に些細なことで、こんなことになるのなら笑ってやり過ごせばよかった。
俺の大好きな彼はよく言えば社交性に富んでいて、誰とでもあっという間に仲良くなる。逆に俺はと言えばどちらかと言えば内向的な方だ。人当たりは悪くはないだろうけれど、そこまで人付き合いがうまいわけではないので、友達の幅は限られている。
そうなると必然的に優先順位が同じでもずれが生じるもので、放課後、友達と教室で別れを告げて待ち合わせ場所に行ったとしても俺の方がいつも早くなる。
そのことに今更腹を立てるわけではないが、それでも今日は俺の誕生日で、一緒に買い物をして帰ろうと約束していたので、その待ち合わせ場所に可愛いと言われ、彼と過去に噂になったことのある子を連れてきたことには流石にむかついた。
むかついて、そして哀しかった。
「ねえ、今日は一緒に遊びに行こうよ」
「ああ、そうだなあ……」
彼は切った言葉の後ちらりと俺を見て
「じゃあ、久々に行くかな」
と続けた。
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