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あの老婆、もしかして大友に騙されたのではないか。大友はあの遺体をどうするつもりだろうか。本当に墓を作るのだろうか。
丘に石だけ置いて、墓を作ったと誤魔化すこともできる。遺体は自分のものにし、闇業者に流し売却することや、ミーク化し自身の食料にすることも可能だ。大友は近いうち結婚する。金なり食料なりが今以上に必要となる。犯行を犯す理由があるのだ。
ミラーから大友が消えた。もはや大友が何をしているのか、分からない。確かめようがない。そもそもほとんど関係のない女性に対し、あそこまで入れ込む理由がない。だが最初から遺体を盗む計画だったのであれば分かる。墓の概念を教え込み、食料という実利を巧妙に奪う企てだ。
もちろん考えすぎかもしれない。だが……
「あいつが分からない……」思わず黒田は呟いた。
急な冷え込みを感じ、黒田はエアコンを付けた。勢いよく温風が吹き出し、ダッシュボードに置かれてあった赤い紙がふわりと舞った。
黒田は紙を掴み、中を確認した。大友の結婚相手の写真とプロフィールが載っている。黒田は紙を握りしめ、目を閉じ、天を仰いだ。
そして大友が、なぜあの孫娘に固執していたのか、ようやく理解した。
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