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告白します...。
長谷川 海斗、20歳。
服飾系の学校に通ってます。
俺にはもうずーっと片思いしてる人がいて・・・。
今日はついに、その人に告白しようと思います!
ってことでキッチンにて秘策を用意中。
飯食いながらだとゆっくり話せるし、まずは胃袋を掴めってね!!!
この日の為に料理はかなり練習したので、自信はある。
今日はバイトも午後の授業もなかったから、昼からじっくり煮込んだボルシチ。
あとは…想い人が帰ってくるのを待つだけ。
付き合ってもないのになぜ帰りを待ってるかと言うと...
俺の想い人が兄ちゃんで、いや、本当の兄ちゃんじゃないんだけど。
親同士が兄弟で、海外転勤が決まった時、俺はまだ高校生だったので社会人になる兄ちゃんと同棲しろっておいて行かれたのだ。
元々家も近くて、ちっさい時からよく遊んでもらってたから兄ちゃんのことはずっと好きだったし、恋愛感情として認識したあとも、俺の人生は兄ちゃん一筋だったから、2人で暮らせって言われたときはかなり嬉しかった。
けど・・・、俺は兄ちゃんに嫌われてるからなぁ。
なんて気持ちが沈んできたところでタイミング悪く玄関が開く音がする。
「あ…おかえり。」
言わなきゃ。今日こそは。
これで、終わりにするんだ…。
「あのさ、ボルシチ作ったんだけど、食べる?」
料理を作る前の鼓舞激励されてる状態に戻りたい・・・。
「なんでボルシチ?いや、朝食うから置いといて。」
俺の考えなんて見透かされてるみたいに冷たく言い放たれる。
「あ…うん。や、ちがくて。あの。ちょっと話あるんだけど。」
「悪い。徹夜明けで。話、明日でいいか?」
「うん。おやすみ。」
なんて言うが早いか、兄ちゃんは部屋に入ってしまった。
あーくそう。今日もだめだった。
まぁ、実るはずもないから言ったら言ったで、俺はこの家を出ていかなくちゃならないけど。
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