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放課後、ボルシチが食べたい!!と騒ぐ2人を放って、俺はバイトへ向かう。
「おつかれさまでーす。」
「あ、海斗くん。おつかれー。早かったね?今日はごはん作りに帰らなかったの?」
この子は同じバイト先の子で、学校は違うけどバイト先では一番仲良しの女の子だ。
そして俺の周りの人は、なぜか俺が兄ちゃん大好きなのを知ってて、応援してくれている。
「そー。きのう大量にボルシチ作ったから。あとたぶん、今日は兄ちゃん午後出勤っぽいから晩飯いらないパターン」
「そっかー。ボルシチ作ったんだね!どーだった!?」
「あ!みおちゃんに教えてもらったやつ作ったよ。ビートの代わりに空心菜と赤カブいれるやつ!うまかったー。まあ、本場のボルシチ食べたことないけどー」
なんて、のんきに話していると
「ちがうよ!告・白!したんでしょ!?海斗くんが新しい料理に挑戦するときは、告白するぞー!って時だもんね。」
俺より闘志漲るようなキラキラした目で聞いてくる。
「あぁ、うん。そのー。」
「またできなかったの!?あ!帰ってくるの遅かった??」
飽きもせず毎回律儀に期待を込めて聞いてくれるこの子は、ほんとにいい子だと思う。
「会えたんだけどさ、ちょっとだけ。そのー。疲れてたみたいで」
もう言い訳でしかないような理由を、毎回律儀に返す俺に、少し困ったような笑顔で
「しょーがないなぁ。じゃあ、次のメニュー考えよう!」
って優しい声をかけてくれる。
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