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ぐったりと横たわり、はぁはぁと荒い息を整えながらも腕だけはしっかりとお互いの身体に絡ませていた。
「うみ、ごめんな。無理させて。」
べたべたの下半身はそのままに、手だけはテッシュで拭って海斗の髪を撫でる。まどろみの中で天使のようににっこり微笑む海斗は「いいよ」って許してくれるだろうか。それともその可愛い顔を背けて、「ちゅーしたら許してあげる」なんてまた俺を困らせるだろうか。とにかく口では謝罪を述べながらも、この幸せに浸っている俺の耳に届いたのは、とんでもない言葉だった。
「ね、もう終わり?」
まるでゲームの続きでも強請るように、純粋な目をこちらに向けてくる。
「んー、もう一回したいの?風呂入れてあげるから、とりあえず飯食う?」
それにつられてか、俺も幼い海斗をあやすような言い方になる。
「そうじゃなくて、続きは?」
さも当たり前のように、首をかしげて聞いてくるのでこちらの方が「ん?」となる。そのまま少しぽかんと見つめていると、ぎゅっと抱きついてきて、
「えっち!しないの??」と少し乱暴に告げられる。
「え。あー…続きって、そーゆーことか。」
流石に恥ずかしくなってきたのか、また色づき始めた頬をぐりぐりと俺の胸に押し付けて聞いてくる。
「りくちゃんは初めてじゃないんでしょー。」
トゲトゲとした平坦な口調に、またご機嫌が急降下している様子が伺える。
「う、まぁ、そーだけど…うみは初めてでしょ?あれいろいろ大変なんだよ。準備とか…」
あまり刺激しないように言葉を濁していると「だいじょうぶ。」と、ぽつりと呟く。
ちらりと顔を盗み見ると、声色ほど機嫌は悪くないようで、ピンク色に色付いた頬につんと尖らせた赤い唇がなんとも扇情的だった。
「あー。たぶん入らないから、その、今度ゆっくりしような?」
そう言ってやんわり断る。折角人が気を使ってやってんのに、悉く台無しにしやがって、と思いつつ、先程反省したばかりでまた無理をさせるわけにもいかないと、風呂場へ向かう。
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