たった一つの冴えたやりかた

17/19
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/289ページ
 まるでガキのカイルを、レイラは微笑んで軽くあしらう。 「それにお姉ちゃんってのやめろ!  お前は俺のお姉ちゃんじゃないだろ!」 「あら、昔はお姉ちゃんお姉ちゃんって、お姉ちゃんのあとを着いて来てたじゃない、まるでストーカーみたいに」 「い、いつの話だ! もう俺は子供じゃないんだ!」 「可愛かったなぁ、あのころのかーくん」 「話を聞けぇ!  今の僕は……いや俺は、あのころのように貧弱なボーヤじゃないんだ!  強く、たくましい、偉大な男になるんだあああああああああ!」 「お姉ちゃんのために?」 「なんでだよ! 俺のためだよ!  これから行くダンジョンは、そのための第一歩なんだ!  だから絶対に行くぞ!  行くったら行くんだああああああああああああい!」  まるで駄々っ子のように駄々をこねるカイルを。  レイラは、困り顔ながら、それでもどこか嬉しそうに見守っていた。    そして。  ふたりはやってきた。  ダンジョンの、その入り口に。
/289ページ

最初のコメントを投稿しよう!