106人が本棚に入れています
本棚に追加
文面がどうこうなんて、送信してから後悔するもので。
ああ、本当に馬鹿! と携帯をベッドに放り投げた時だった。
メールの着信。
え!? と慌てて携帯を手に取り、タップして確認すると、それは彼からの返信だった。
震えそうで。
文面を理解するのに、少し時間が掛かった。
『僕はまだ起きてたよ。
翠川さんが気になることがあった時、いつでもメールしてきて大丈夫だよ。
ああ、電話でも』
緒方君の声が聞こえてきそうな言葉が並ぶ。
わたしは思わず携帯を落としていた。
ど、どうしてくれようか。
これは、どう受けとる? この、あまりにも自然でイヤミのない文面が、わたしを疑心暗鬼にさせる。
これは、駆け引き?
わたしは、メールで返すか、電話で返すか、なんて迷ってはいなかった。
呼び出し音が、2回くらいで、彼は電話に出た。
「こんばんは」
その声は、甘く、優しく、柔らかく――。
最初のコメントを投稿しよう!