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緒方君との電話は、拍子抜けするくらいお仕事の話に終始した。
変に期待して構えた自分が恥ずかしくなってしまった。
通常の電話で本当に良かった。
まかり間違ってスカイプでもしようものなら赤面もの。
やっぱり、緒方君はあくまで仕事。
わたしの事は、当然のことながら何とも思ってなんていないわけで。
後にして思えば、酔い潰れて吐くような女に特別な感情なんて抱けるワケがない。
本っ当に、恥ずかしい。
同時に、なんだか、心が痛くなる。
恋の神様はもうわたしにはなんのご利益もくれない。
あなたに残されたのは仕事だけ、仕事だけ頑張りなさい、と神様に言い渡された気持ちだ。
少し前のドキドキを返して。
電話を切ったあと、わたしはそのままベッドになだれ込んだ。
脱力。もう、今夜は寝る。
けれど、いざ寝ようと思って部屋の照明を消してはみると、妙に頭が冴えている。
わたしの頭を冴えさせているのは、少し前の赤面ものの勘違い、ではなく、緒方君から聞いた話の内容。
緒方君があの時間まで起きていたのは色々と調べてくれていたみたいだった。
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