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どうしよう。
わたしは、とんでもない人間を敵にしたの?
バクバクとなる心臓は、留まるところを知らない。
わたしは事務所に戻ったわたしは一目散にトイレに駆け込んだ。
「菊乃ちゃん!?」
驚いたこのみさんの声が聞こえたけれど、今はそれに応えることも出来なかった。
ドアを閉めて鍵を掛けた。
久しぶりのキス。
あんな、あんなのってない。
愛も優しさもない。
あんなキスって。
パウダールームと一体型のお手洗い。
わたしは傍に備えられていたティッシュを数枚取り鏡に向かって唇を拭いた。
涙がボロボロとこぼれてきた顔は、鼻水まで出て来てどんどんぐちゃぐちゃになっていく。
「ひどい顔」
でも、止まらない。
涙が、どうしても止まらないの。
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