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何が哀しいの?
キス?
それとも、玲さんへの恐怖?
仕事を失うかもしれない?
わたしは、ジャケットのポケットに入れたままにしていた携帯を出した。
誰に連絡しようとしてるの、菊乃?
誰に?
そんな自問とは裏腹に、わたしの指が押す相手はもう、決まっていた。
今まで独りでもやれるって気を張ってきたのに。
こんな、情けない女がするような事、したくないのに。
でも、今は立っているのもやっとなの。
傷つけられた誇りと、崩れ落ちた自信。
自分を失いそうで怖かった。
助けてください。
緒方君――。
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