カルテ6 微熱

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 姉のことをさり気なく皮肉りながらも明るく笑った千尋は、 「そんなわけで、今度もしかしたら菊乃のとこに姉を連れて相談に行くかもしれないから、よろしくね」  そんな言葉で締めくくって電話を切った。  深夜2時を回る頃だったけれどすっかり目が覚めてしまったわたしはベッドから起き上がり、少し仕事しよう、パソコンを開いた。  結婚ってなんだろう。 夫婦って?  わたしがこの世界に飛び込んだのは、蓉子先生がお声を掛けて下った時、この仕事に魅力を感じたから。 その時はなんの迷いもなかった。  日本の国内に於いては、3組に1組は離婚してると言われる現在。 それは、昔と違って〝離婚〟というハードルが低くなっているのが主な原因。 その中で、わたしが受け持つような調停に持ち込まれてしまうような離婚は1割にも満たないのだけれど、拗れてしまった夫婦の間に立って、特に立場的に弱い事が多い女性の助けになりたい、そう思っていた。  でも実際には、そこまで揉めなくても、というものもあって。  縁があって結ばれて、結婚した二人がその婚姻関係を断とうとするのは、どうして? どうしてこんなに揉めなければいけないの? そう考えてしまうケースが増えてしまうようになって来た。 こうなるとドツボに嵌まって時々苦しめられたりする。 こんな筈じゃなかったのに、って。
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