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 出会いはバイトだった。  僕は駅前のショッピングモールに入っているチェーン展開のファミレスでバイトしていたのだが、そこに怜美がやってきた。 「柾怜美という者だ。ふつつか者だが、ヨロシク頼む」  バイト初めの挨拶は、そんな変な挨拶。  第一印象は変な女の子。  肩の上までくらいの、ストレートの黒髪がふわりと揺れている。  ただ、二コリとする笑顔はとても明るいなと感じた。  そんな怜美の教育役に、僕は指名された。  聞けば、怜美は市内の女子高に通っているという。 第一印象を裏切らず、変な女の子だった。  仕事はできた。  ものすごいできた。  覚えは早く、二言三言で客の心を掴む接客術はすごかった。 「ちょっと、これからご飯でも一緒しないかね? 教育役の人よ」  ある日、仕事終わりに怜美が言った。 「いいよ。どこ行く?」  僕は答える。 「心配するな。既に店は予約してあるのだよ」  そう言われて連れて行かれたのは……、  さっきまで働いていたファミレスの端の客席だった。 「特別待遇だ。価格も特別にバイト価格で食べて良いぞ」  そう言って怜美は笑う。 「当たり前だ。通常価格で食ってたまるか」  僕は溜息を吐いた。  そんな食事の途中で、 「ところで教育役の人」  唐突に怜美が言った。 「何だよ?」  僕がうんざりした様子で言うと、  それでも怜美はニッコリと笑って、 「私は君が好きになってしまったんだが、……君はどう思うかね?」  何とも平然とそんなことを言った。  一瞬、僕は意味が解らなかった。  それがつまり告白だと理解するまで、一日くらいかかったように思う。  始まりはそんな具合だ。 怜美の方から告白されて付き合うことになった形だった。  僕と怜美は一年程付き合っただろうか。  そして……、 二ヵ月前にフられた。  繰り返すけれど、最初は向こうから告白されたんだ。  なのに最後も向こうから言われた。  ……勝手だ……。  そう思いながら自分に腹が立った。  ……きっと、僕は未だ怜美のことが好きなんだ……。
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