カルテ9 深大寺

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 本堂で参拝する大勢の人に混じって、わたし達もお賽銭をし、手を合わせ、祈った。 ちらりと緒方君を見ると、わたしより少し長く手を合わせていた。  長い睫毛に胸をどきんとさせられて、わたしは慌てて目を閉じた。 「何をお願いしたの?」  遊歩道のようになった道を歩きながらわたしは緒方君に聞いた。 緒方君は、クスリと笑う。 「さあ、なんだろうね」  はぐらかしたわね。 うーん、もっと知りたくなるじゃない。 軽く睨んでみせたわたしに緒方君、クスクスと笑って言った。 「そう言えば、ここは何をお願いするか、知ってる?」  上手く逸らされた、と思いきや。 「……縁結び」  なんだか、ど真ん中に攻め込まれた感じがするのは、気のせい? ちょっと構えてしまう。  そういえば、緒方君は、彼女はいるの?  フッと浮かんだ、浮かんでしまった疑問に、胸に痛みが走った。 なんで、こんな初歩的な疑問、今まで思いつかなかったの?  そのことを話題にする為にそんな質問?
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