カルテ9 深大寺

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「ここまで送ってくれて、ありがと。 また連絡するわね」  そう言って車から降りようとした時。 クッと腕を掴まれた。 予想外の緒方君の行動に、わたしはびっくりして振り返る。  緒方君?  アーモンド型の、綺麗な目が真剣な色を見せている。 澄んだ黒い目に、わたしの顔が映りそう。 「どうしたの?」  ドキドキする鼓動がどんどん加速して、声が震えそうだった。 「一つ、聞いてもいい?」  どきん、という大きな拍動に震えそうになった。 わたしは固唾の呑んで、 「なに?」  緒方君の言葉を促した。 「昨日、翠川さんが僕に電話をしてきたのは、精神科医としての僕を頼ってくれたから?  それとも、僕を一人の男として頼ってくれたから?」  ずきゅん、という音を聞いた気がした。 心臓を、撃ち抜かれたかと思ったわ。  どっち?
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